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2024.07.31お知らせ
最低賃金、物流施設の労働力不足
◆労働力不足の現状
人手不足を表す経済指標としては、有効求人倍率が一般的です。有効求人倍率は、求職者一人に対して、何人分の求人があったかを示すものです。人手が不足しているときは、
求職者数よりも求人数が多いので、有効求人倍率が1を上回り、逆に人手に余剰感があるときは1を下回ります。
令和3年度平均の有効求人倍率は1.16倍でした。
しかし倉庫作業員や積卸作業員などが含まれる「運搬の職業」の同年同月の有効求人倍率は1.25倍、
ラベル・シール貼付作業員などが含まれる「包装の職業」は2.63倍となっています。
日本の物流業界では、労働力不足が深刻な問題となっています。有効求人倍率が示すように、
多くの業界で求職者よりも求人の数が多く、特に物流分野では労働力不足が明確です。
◆最低賃金の引き上げ
2024年の最低賃金改定により、全国加重平均額が1054円に引き上げられます。
これにより、パートやアルバイト労働者の収入が増加し、生活の安定が期待されます。
これは給与所得者にとっては可処分時間が増えていいことでしょう。
しかし、収入の増加に伴い、税金や社会保険の課題も浮上しています。収入が一定額を超えると課税されるため、
多くの労働者が収入を抑えるために労働時間を減らす可能性があります。
これにより、物流業界の労働力不足がさらに深刻化する恐れがあります。
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具体的な数字を見ると300時間/1日の必要総労働時間の企業があったとしましょう。
3PLの会社だとこの数倍規模で必要ですが。
今から10年前の2014年の大阪府の最低賃金は838円でした。2024年10月、おそらく最低賃金は1,100円ほどになるでしょう。この仮定の場合
2014年 | 2024年 | 上昇数 | ||
最低賃金 | 時間 | ¥838 | ¥1,100 | ¥262 |
300 | 時間 | ¥251,400 | ¥330,000 | ¥78,600 |
22 | 日 | ¥5,530,800 | ¥7,260,000 | ¥1,729,200 |
12 | ヵ月 | ¥66,369,600 | ¥87,120,000 | ¥20,750,400 |
必要人数 | 64 | 85 | 20 |
78,600円/日 1,729,200円/月 20,750,400円/年の賃金上昇です。
さらに労働者の社会保険適応が拡大され103万円の壁を想定した場合、今までは64名の雇用だったのに対し、85名雇用する必要が発生しました。
前述の通り、有効求人倍率は2.6倍になっているのに雇用をさらに20名も増やさなければならないという状況なのです。
ご存じの通り求人の費用もどんどん上昇しております。
さらに離職率は30%前後を推移しています。
◆生産性向上と省力化の必要性
人口減少と労働力不足に対処するためには、生産性の向上と省力化が不可欠です。自動化や機械化、
そしてデジタルトランスフォーメーション(DX)の導入が提唱されています。しかし、これらの取り組みには初期投資が必要です。
「純増コストが2,000万円以上もあるのにそんなもん出来るか」という声が聞こえてきそうです。
当然、全ての企業が実施できるわけではありません。地道な改善策としては、現場の作業を見直し、
負担の大きい作業や時間のかかる作業の効率化が重要です。
◆労働力確保のための取り組み
労働力確保には、高齢者・外国人・障がい者の活用、柔軟な勤務形態の提供、職場環境の整備が必要です。
最近ではフェムテック物流なる、女性による物流というものあるそうですが、否定はしませんが、そこの絞り込みは必要なのだろうかと?が浮かびます。
◆終わりに
労働市場での競争が激化する中で、柔軟な勤務体系や職場環境の改善、省力化などの取り組みは、全社レベルでの経営戦略として捉えるべきです。
しかしながら自社で行い続けるにはあまりも難しい問題でもあります。
3PLのメリットの一つに人員の按分があります。1社単独では難しい人員配分も10社での配分なら可能になる事があります。
最低賃金の問題、人材確保にお悩みの企業様は是非ご相談ください。